2015年5月8日金曜日

経済力と芸術

 お金のあるところに芸術品が集まると言われる。世界の各都市のGDPと、それぞれの都市にある芸術品の評価額(個人のコレクションまでは把握できないだろうが、美術館の分は評価可能であろう)の相関をとってみたらどうだろう?むろん過去の繁栄時に収集された芸術品が、衰退後も維持されている例もあろうが、基本的に相関関係があることは明白であろう。

 昨日紹介したマンハイムにも美術館Kunsthalle Mannheimがある。マンハイム自体、バロックの城と都市形態をもつが、町並み自体は新しく、これといった観光資源もない。日本からの観光客もそう訪れるところではない。しかしながら、30万を超える人口を有する工業都市マンハイムは、ドイツでは大きな街といえ、この美術館もそれなりに充実している。

 Kunsthalle Mannheimは、ベックマンやキルヒナーなどドイツ表現主義のコレクションで知られる。人の内面をグサリとえぐり出すような作風はあまり気分のよいものではないが、インパクトはある。また、印象派では、マネの大作「皇帝マクシミリアンの処刑」やセザンヌの「パイプをくわえた男」(同じモチーフが複数ある)などがある。折に触れて訪ねてきたが、いついっても閑散としていて、入場者よりも係員の方が多いのではないかと思うほどである。ヨーロッパを訪れたときに誰もが行くのが美術館。著名な美術館において人混みの中で慌ただしく著名な作品をみるよりも、こんな小さな美術館で、静かにじっくりと作品と向き合うのもよいかもしれない。

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