2015年4月29日水曜日

街全体がアウトレットモール

 調査実習の授業の中で、学生にテーマを発表してもらう。一人の学生は、中心商業地についてやりたいという。中心商業地と言えば「衰退」という話ばかりにどうしてもなってしまう。常々、空き商店だらけの中心商店街を、モール運営会社が借り切って、空き商店にテナントをいれたらよいと思っていた。わざわざ田んぼの真ん中に、巨大な建物をつくることはない。街にとっても会社にとっても理にかなう。と、もう昨年になるが、ドイツの新聞サイトを眺めていたら、ドイツでなんとこれを実現する街があるというではないか!考えることはどこも同じである。

その街の名はBad Münstereifel。ボンの南西30kmほどに位置する人口6千人ほどの街である。アイフェルの山並みに囲まれた中世都市で、中心部にはFachwerk木骨組造りが並び、保養地としても知られる。この中心部の空き店舗を利用して、 2014年8月にアウトレット・モールがオープンした。
次のホームページは、このモールのものである。一見、普通のモールのようにみえるが、実は屋外の既存の街がモールである。

http://www.cityoutletbadmuenstereifel.com/

このホームページに掲載されている街(=アウトレット・モール)の案内図である。

(http://www.cityoutletbadmuenstereifel.com/besuch-planen/centerplan/)


 図中のオレンジがモールのテナントであり、30店舗、Bonita、McGregor、Puma、TomTailorなどのブランドが並ぶ。新聞報道によると、オープン以来、盛況、とりわけ日曜日は大混雑とのこと。日本にも参考になる面白い試みであろう。

ここで、面白い(といっては失礼だが)問題が持ち上がっている。ドイツでは、商店の営業時間は法律「閉店法」で厳格に定められている。かつてからみると、ずいぶんと緩和されてきて、それまでは認められなかった平日18時30分以降や土曜の午後にも回数に制限があるが、営業が認められてきた(州によって異なる)。日曜も営業は原則禁止ではあるが、年に何回かは許可される。屋内型アウトレットモールは、ドイツでも今やあちこちにあって、モールによっては、日曜営業が年間16日間認められているという。このモールCityOutlet Bad Münstereifelは、年間40日の日曜営業を計画、許可を求めたところ、管轄のケルン郡当局は、従来の規定の4日間しか認めなかったという。モールの運営側は、アウトレットモールとして申請しているのに対して、行政当局は、街の商店街としてみているということであろう。



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