2016年3月11日金曜日

ドイツの放射線観測網(2)

 さて、ドイツにおいて原発の事故など緊急事態があった場合、放射能汚染がどこでどれくらい広がっているのか、そしてこれから広がる可能性があるのか、それを予測するシステムについてである。ドイツでは、このシステムをIMIS(Integrierten Mess- und Informationssystem統合観測・情報システム)といい、これは、PARK(Programm für die Abschätzung Radiologischer Konsequenzen放射線レベル評価プログラムとRODOS(Realtime Online Decision Support Systemリアルタイム・オンライン・意思決定サポートシステムから構成されている。このシステムによって、ドイツ各地における環境内の放射性物質とそれによる人間の外部被曝(大気中の放射性物質による)、内部被曝(摂取する汚染された食料による)が見積もられることとなる。ここで、拡散の予想には、ドイツ気象庁の気象予報も用いられる。

  このシステムによる予測結果は、地図に示される(ここでも地図というかたちの表現が用いられる!)。これにより、各地においてどの程度の汚染の可能性があるのか、そしてどんな防護手段が必要なのか、判断ができる。例えば、下図は、2005年4月14日にマンハイム周辺で放射性物質が放出された場合、4月16日まで葉物野菜におけるヨウ素131の汚染がどれくらいかシミュレーションしたものである。EUの基準が2,000ベクレル/kgなので、緑から黄色にかけての地域が基準値以下であり、オレンジから紫の地域が基準値を超えている。この地図において放射能汚染の程度は、市郡単位で示されており、どの地域の野菜が危険か、生産者も消費者も容易に把握することができる(千葉県のある観測点において放射線量の値が高いからと言って、千葉県全体が同様に高いとは限らない)。いざというときに(放射能汚染の可能性があるときに)、個々人がどう行動すればよいのか、支援するシステムが構築されている。同じようなシステムがもしあったなら、福島の、とりわけ原発に近い地区の人々の被爆はもっと小さいものにできたかもしれない。そして今も、原発を稼働させ続けるのであれば、事故のリスクを小さくすることはむろん重要であるが、リスクがゼロと言うことはありえず、もし事故が起こった際の放射能汚染に備えておくことは必要であろう。

http://www.bfs.de/DE/themen/ion/notfallschutz/entscheidungshilfen/entscheidungshilfen_node.html;jsessionid=3C6E254B61484702E2480CF5E9B1092A.1_cid374






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