2016年3月1日火曜日

ゴッタルド・トンネルその後

 28日(日)に行われたゴッタルド・トンネル建設を巡るスイスの国民投票の結果だが、賛成が188万、反対が142万、賛成が57%を占めて、2本目のトンネルが掘られることとなった(Tages Anzeigerというスイスの新聞のサイト http://www.tagesanzeiger.ch/schweiz/standard/resultate-gotthardroehre/story/20844341)を参照)。
 このTages Anzeigerのサイトをみてもらいたのだが、スイスのcanton州ごとの投票結果が地図で示されていて、州ごとにどこで賛成が多かったか解説している。それによると、反対が多かったのは、スイス西部のジュネーブ州とヴォー州(ローザンヌが州都)の2つだけであった(件のゴッタルドから遠い。そしてフランス語圏)。賛成の比率が69%と最も高かったのは、シュヴィーツ州とアールガウ州(ドイツ語圏)であり、当事者ともいえるウーリ州やティチーノ州では賛成が多数を占めたがそれほどでもなかった。これらの州では、世論が賛成反対、二分されたという。さらに、トンネルの南ティチーノ州ではゲマインデ(市町村)ごとに意見が分かれ、トンネルの出口に位置するアイロロでは76%が賛成だったが、反対が多数のゲマインデもあった。
 28日の国民投票では他のテーマについても投票がされている。こうした政策に対する評価、意識がスイス国内の場所ごとに如実に異なることが面白い。加えて、新聞などメディアも、主題図を多用して、地域差に注目し、解説している点も興味深い。スイスだけではなく、ドイツのメディアも同様であり、日本のメディアにおける地図の利用とはずいぶんと差があるように思う。確実に各メディアは地図の専門家カルトグラファーを使っている。頻繁に主題図がメディアに載ることで、読者の地図の見方や使い方、いわゆるマップ・リテラシーを高めることになるのではないだろうか。

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