2015年10月11日日曜日

軽井沢(1)

イギリスL大P氏、S大I氏とともに軽井沢エクスカーション。軽井沢は久しぶり。P氏は、ルーラル・ジェントリフィケーションをテーマとして精力的に仕事をしており、現在、日本のルーラル・ジェントリフィケーションの実態や研究を探索するためにS大に滞在中。私自身もルーラル・ジェントリフィケーションをテーマとし、かつ軽井沢をフィールドとし、また、4年前にイギリスに行ったときにお世話になったこともあって、今回、軽井沢を案内することとなったわけである。

大宮駅から新幹線。連休の中日だが、むろん座れない。デッキに立って10時過ぎに軽井沢着。中高年の女性を中心として多くの乗客が軽井沢で降りる。新幹線、そして高速道路によって、もはや首都圏からの日帰り観光地となっている。改札口で、P氏、I氏とおちあい、日帰り客の目的地のひとつである南口のアウトレットをのぞく。北口駅前でレンタカーを借りて、旧軽へ。旧軽銀座、森ノ美術館裏手の駐車場に車を停める。近くには、軽井沢で日本人初の別荘。海軍大佐八田裕二郎によるもの。駅から旧軽へと続く道は大勢の人が歩く。フランス語名のケーキ屋や、ドイツ語名のソーセージ屋、、、P氏は笑いながら写真を撮る。夏のピークの時ほどではないが、人でごった返している。江戸時代には、江戸と京を結ぶ中仙道が整備され、軽井沢はその宿場町であったこと、明治になっていわゆるお雇い外国人が多数、日本にやってきたが、彼らにとって蒸し暑い東京の夏は耐えがたく、ここ高原の軽井沢を避暑地にしたこと、彼ら外国人が来ることで、宿場町の人々が旅館をホテルにしたり、パンやジャムなど彼らの嗜好に合った商品を売る店を始めたこと、、、などなど例によって怪しい英語で説明しながら、宿場のはずれ、ショーハウスへ。軽井沢で最初に別荘を建てたカナダ人がショーであった。元来、街道沿いにあった場所から奥まったところに、彼の別荘を再現したものものである。帰りは、南の横道に入り、軽井沢テニス倶楽部のコートの脇を通って駐車場に戻る。

このテニスコートで、現在の天皇陛下が皇太子時代、現在の皇后様と出会われ、そしてご結婚された。ということで、軽井沢に大いに脚光が浴び、多くの観光客が訪れるようになった。これが軽井沢の大衆観光化の始まりといわれる。次いで、1980年代後半のバブル経済期、いわゆるリゾート法の制定もあいまって、開発の波は軽井沢にも及び、リゾートマンションの建設など観光開発が進展する。そして、1998年の長野オリンピックを睨んだ上信越自動車道と北陸新幹線の開設によって首都圏とのアクセスが格段に向上したことで、さらなる観光の進展をみた。

 さて、再び車に乗って、愛宕山の西麓、最も早くに別荘開発が進んだ地区に出向く。別荘一戸当たりの敷地も広く、瀟洒な、そして豪華な建物も多い。更新も進んでいて、現代的な建築もみられる。写真を撮りつつ、重文の旧三笠ホテルまでいって引き返し、中軽井沢に向かう。途中、これでもかというくらいのフランス料理やイタリア料理のレストランを目にし、スーパーTSURUYAやセブンイレブンに入って品揃えのよさをみてもらう。ちなみにセブンイレブンで7,8千円のワインをおいているのは軽井沢をおいてないのではなかろうか。軽井沢では、東京と同等の消費生活が可能なのである。星野リゾート、ホテルブレストンコートを経て、千ヶ滝地区に向かう。ここは、大正期より今日まで、西武グループによって別荘開発が進められたところであり、その規模の大きさにP氏も驚いている。東京を控えているだからこそですよ、と応える。販売・管理事務所の方によると、この地区で、200人程度の人が定住してるそうである。今売り出し中のところは、この地区の西、森に囲まれた別荘という従来の軽井沢のイメージとは違った開放的な別荘地、人気も上々とのこと。買えるわけでもないのにパンフレットをもらう。



我々はさらに西へ、追分へと車を走らせる。追分は中仙道と北国街道の分岐に位置した宿場町。実は軽井沢よりも大きな宿場町であった。ここに友人が別荘をもち、ちょうどこの週末に来ているというのでアポをとっており、訪れる。初の訪問だが、周辺の環境も建物の内外の様子もなかなかによい。コーヒーとお手製ケーキをご馳走になりつつ、別荘購入の経緯や別荘の使い方などP氏に説明してもらう。

軽井沢は、霧が多い。つまり湿気が多い。苔むした地に別荘が建つ風景は軽井沢ならでは、である。軽井沢から西へ、この追分、そして御代田へと行くに従って、より乾燥してくる。軽井沢の湿気を嫌う人は、この軽井沢の西の地区にやってくることになる。加えて、観光シーズン期の軽井沢の街中の渋滞はものすごいもので、そうした喧噪を嫌い、静かな環境を求める人らが、このあたりにやってくるわけである。「やってくる」というのは、別荘を買って一時的に訪れることとともに、定住することも意味する。

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